
安全に通行するための知識と行動①
はじめに
今回は「安全に通行するための知識と行動」がテーマです。
久しぶりに運転される方や,運転に慣れてきた方が注意すべき点をまとめました。3つのテーマをベースに,正しい運転行動を少しずつ身につけましょう。
1.道路交通法を守る
2.右左折・カーブでの注意点
3.客観的に自身の運転を観る
目次
1.道路交通法を守る
道路交通法は道交法とも呼ばれています。
通常,運転中に使う道交法はそれほど多くありません。多くの方は教習所の学科試験で暗記した内容しか知らないかと思います。
今回は速度・一時停止・合図について紹介します。運転に直接関係するので,正しく使えるか確認しましょう。
1.1 法定速度や制限速度を守る
法定速度・制限速度は,誰もが事故を起こさず通行できる速度として設定されています。特にカーブや狭い道,歩行者の多い道などでは標識・標示で制限速度が示されています。
まずは標識・標示を見つけることからやってみましょう。
速度を守ることはとても重要です。40km/h 制限の道路を走行する場合,何km/h まで捕まらないのか?ではなく,40km/h 制限の道路を 40km/h で走行することに意味があります。
不慣れな人ほど速度超過しがちになります。意識して走行しましょう。速度を守って走行することは,アクセルやブレーキの練習にもなります。
特に小学校の近くなどにあるスクールゾーンの 30km/h(または 20km/h)の速度制限は意味があります。30km/h 以下 でぶつかった場合の死亡率は,40km/h と比較して格段に下がるのです。制限速度をしっかり守ることを心に留めましょう。

1.2 一時停止場所では完全停止
交差点で「止まれ」の標識・標示がある場所(一時停止場所)では,必ずピタッと止まります。そして,完全に停止してから次の行動「安全確認」に移ります。
一時停止が指定されている交差点で,通過する自動車が完全に一時停止できているかどうかを独自に調べたことがあります。
調査中,通過した280台の中で違反せずに通過できたのはたった7台(全体の2.5%)でした。止まったとしても停止線を越えていたり,そもそも止まらずに徐行だけで通過していった自動車がほとんどでした。
正しく一時停止ができていない人の多くは,止まる前に安全確認を始めていました。繰り返しになりますが,まずピタッと止まってから安全確認を始めるようにしましょう。
「止まれ」の停止線までは安全で,その先が危険なゾーン。
- 停止線でまず一度ピタッと止まります。
- 次に歩行者・自転車とのやりとり。歩道全体が見通せる場所までブレーキを使いながら出ます。
- 歩道全体が見通せたら,もう一回止まって,車とのやりとり。
右左折する場合は,歩行者・自転車との事故が多いので,確実に目で「来ていないこと」を確認しましょう。
大きな交差点では,交差道路の車との事故が多い傾向にあります。一時停止の後は,完全に優先ではありません。赤信号を無視して通行するくらいの気持ちで進むといいかもしれません。
1.3 適切な合図の時機
合図は自分の意思を周りに伝えるものです。合図もうまく使えるよう練習しましょう。
一つの目安として「30m・3秒前」が挙げられます。
交差点の30m手前では合図がついているようにしましょう。
30m地点の目安として,路面上の標示が活用できます。
目安①
交差点を示す標示(曲がる方向を示す矢印)は,交差点から数えて2つ目のマークが目安になります。
目安②
中央線(2車線以上ある道路は区画線)が破線から実線に変わる地点が,交差点からおよそ30mです。
右折レーンに入るときや,線を越える行動をとるときなどは,3秒前には合図をつけましょう。
合図をつけて,3回ウインカーが点滅したら行動するイメージです。
合図はコミュニケーション手段として使うことで,会話のように楽しめます。適切に使うと,進路・車線変更や,駐車車両などの障害物を避けるのが容易になります。
合図のタイミングは,周囲の車の合図を真似したり,評価したりすることで,理解が深まります。合図が遅くならないよう,適切なタイミングをつかみましょう。
特に,ショッピングセンターなどの駐車場では合図をしっかり使いましょう。次にとる行動が周囲に伝わることで,事故防止につながります。
2.右左折・カーブでの注意点
直線以外の道路を通行するためには,通行する道路の形状をつかむことがとても重要です。どの程度の曲がり具合なのかを判断して,通過する速度を決めます。速度を見誤らないためには,道路の形状をきちんと把握することがポイントです。
2.1 右左折時の速度
交通事故のニュースで「ハンドル操作を誤った」と耳にすることがあります。右左折時の速度超過は,その主たる原因です。
曲がった先の横断歩道を通過するまではゆっくり進みます。このとき,歩行者が最優先です。
先が全部見えて安心できたら,アクセルを踏み足して加速していきましょう。
右折は左折と比較してあせりがちで,曲がる速度が上がってしまったり,交差点の中心から離れショートカット気味になったりしてしまいます。
安全に右折するには,交差点の中心の手前を通過したら,横断歩道まではアクセルを離して惰性で曲がります。あとは左折同様に,曲がった先がクリアになってから加速するようにしましょう。
速度を半分にすると,かけられる時間は2倍に増えます。「目視する時間がない」と感じる方は,速度をコントロールすることで解決できます。
特に左折は右折に比べ,曲がり方がきつくなります。左折が苦手な方は,曲がる前の速度をいつもの半分にしてみると解決できるかもしれません。
2.2 緩やかなカーブと緩やかな屈折
まず,カーブと屈折の違いを理解しましょう。


カーブと屈折の形状の違いは,角の有無です。縁石などが「丸い」か「くの字」になっているかで見分けられます。
上のカーブと屈折の写真では,カーブの方が曲がりがきつそうに見えます。カーブだと少しずつハンドルを回せるので,時間をかけて曲がっていくことになります。
対して屈折は,緩やかに見えていても角まではハンドルを回せないため,その場所で向きを変えるようになります。カーブとは車の向きを変えていく時間が大きく異なるのが特徴です。
カーブと屈折を同じ速度で通過する場合,屈折ではその場所で向きを変えるため,ハンドルを回すスピードを速くする必要があります。これを把握していないと慌ててしまい,ふらつきやはみ出しの原因になります。慌てないように通行するには,カーブと屈折どちらなのかを認識し,速度をしっかり落とすことが重要です。
緩やかな屈折は,都心部の陸橋の下などで多く見られます。また,右折レーンに入る行動も基本的に屈折になります。
カーブではなく,あくまで曲がり角であるため,十分に速度を落とすようにします。

目線が近くなりすぎると,カーブしていることに気付かないことがあります。前の車を見るだけでなく,走行するラインのイメージをきちんと持って走行しましょう。
以下の2点に注意して走行しましょう。
- 微妙に先が曲がっていることを認識する
- 枠内を走行しているか,走行位置を確認する

3.客観的に自身の運転を観る
自身を客観視することは,運動や仕事などでも重要です。心理学の言葉では「メタ認知」といいます。
自身の客観視は,運転の技術・危険予測能力の向上に大きく関わっています。早期に安全運転者になるために,自身の運転行動を他者目線で観てみましょう。
自身を客観視するためのステップとして,「自身の運転への振り返り」と「他者からの評価」を比べることをお勧めします。ご友人・ご家族・同僚の方など,同乗者と一緒に運転の振り返りをすることで,客観視の能力が格段に上がります。
「自分の運転は他の人とどう違うのか」という話し合いが,無事故の秘訣かもしれません。
自身を客観視できるようになると,現状の運転に満足することなく,常に向上心をもって運転に向き合えます。結果として,より安全な運転行動ができるようになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
1.道路交通法を守る
2.右左折・カーブでの注意点
3.客観的に自身の運転を観る
以上の3点に着目して,正しい運転行動を身につけましょう。
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